たり寒かったりだから呉々お大切に。きょうはありがとうね、おっしゃったようにしたら口の中でとけるようでした、美味しく、美味しく。
四月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
四月十九日 第二十信
こんにちは。ああきょうは何とのんびりでしょう。花を自分で久しぶりに買いに出て、何となく柔かな春の花が机の上にふさふさとしていて。クロッカースというのは何にも大した花ではないし、やすい花ですが、こうして様々の濃淡であるのは美しいわ。そちらのヒヤシンスよく匂いましたろうか。
きのうはね、あれから家へかえったら、仕事手つだってくれている娘さん来ていて、夕方お恭は留守になるし(金、稽古)私は云わば足かけ三年ぶりの仕事終ったのだし、実にのーのーしたくて、六時ごろ出かけて、日比谷の新緑見物いたしました。すこしおそすぎて、もう若葉にさす夕方の斜光の美しさはなかったけれど、芽立った樹々の重りの奥ふかい軟かさ、色調の変化の素晴らしさ。日比谷も全く見ちがえます。この公園は私たちの生活にどうもなじみふかいのよ。先は、接見許可をとりに行ってかえりにはすこし樹の下を歩くのが習慣でしたし、いつか冬の
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