にもって行ってやりました。
 おけさという開成山のばあさまが、太郎の入学祝いに田舎からわざわざ餅をついてかついで出て来ました。これはおじいさんのとき一郎爺(私は三郎爺としてかいている爺さん)というのがあって、その娘で、大した働きもので、今では富農です。気のからりとしたばあさんで、寿江子や太郎なんか私もろとも孫と思っているので、お祝に来たわけ。
 そのばあさまは、私があなたのことや島田のこと話し、やっぱりあなたがおばあちゃん子だったこと話すので、お目にかからないのにそんな噂も知っているのよ。雪雄っていう六つの孫が御秘蔵でね、なーして(どうして)、こんげな(こんな)鬼みてよなばあさまにとっつくだ、というと、雪雄は、そいでもいいんだア、めんごくねえことねえ(かわいくないことない)って云ったと云って、トロトロになって云って居りました。そして、東京へ来るって云ったら、おら、どうすんだ、道ばたさばっかりいんのかアと歎いた由。なかなかおばあちゃん、恋々たらざるを得ないわけね。どうして大した殺し文句です。そういう気質って何だか面白いわね。お母さんがいつかこんなことお話しなさいました。誰か何か用があって
前へ 次へ
全471ページ中142ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング