ふりかえりふりかえり逃げて到頭、それは少年の二つの手につかまります。何と可笑しい栗鼠でしょう、その手の中から逃げようとしないのよ。少年は笑って、いいかい、もう決して離さないよと心持よさそうに叫びます、するともう決してはなさない、とどこからかもう一つの声が答えるの。どこからかしら、少年は栗鼠がいうのかしらと思うの、もう一度ためしに、いいかい、もうはなさないよ、そういうと、どこかで又もうはなさない、というの。それは木魂でした。少年はリスにつかまったのでしょうか、それともリスが少年につかまったのでしょうか、森の木魂は何と答えるでしょう。そういう物語。「季節の思い出」は風景がゆたかで全く飽きません。「仮睡」というの、これもあなたはあやしいわね、そっくり覚えていらっしゃるかどうか、夏の部よ。牧童が泉のほとりへ来かかります、せせらぎながら溢れこぼれる泉にひきつけられて、喉のかわいている牧童はそのゆるやかな丘の斜面に体を伏せ、芳しい草をかぎながら、口をつけて泉をのみます、甘美な泉に満足した牧童は丘のなだらかな線に体をまかせたままいつの間にか眠ってしまいます。いつしか日が沈み、白い月が夕暮の中にさしの
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