いるもの、それとの対比そのほか、日本の婦人画家は目下展覧会へかいたりする人でこの位生活的なひとはいません。そのこともいろいろ考えます。新井光子なんか、今 New York でどんな勉強をどんな気持でしているだろうかと思ったりして。伝記を学びたいと思います、ケーテの。
竹村の本は、こんなものだの、ヴァージニア・ウルフの「婦人と文学」についての感想をすこし長くこまかくまとめたものだのがかけたら、そのほかのものと一緒にして、本に出来るでしょう。ケーテのことはこれだけ書いてみたい心を動かされる。日本にそんな婦人画家が出たら私はどんなにうれしいでしょう、ねえ。たとえばレムブラントの生涯はベルハーレンが詩人らしさで描いています、しかし私が新しく書いたっていいわ。そういうものがあるわけです、レムブラントの芸術的生涯には。却ってミレーなんかよりあるのです。日本の洋画家の誰がそうでしょう? それもこの間考えました。男だって、ないわ。
ケーテについて正しく書ければ、やはりうれしいと思います。専門家でなくたってね。通俗講座でなければ、ね。でも、通俗講座とはよく穿たれた表現です。
この頃玉子切符で買うのです。砂糖の切符をみせるのですって。そして、その人の割で売ってよこすのです。米も一日に一回二升までで毎日二升いるうちでは日々買いに行っているところがあります。うちは組合で、そうしなくてもいいのですが。東京は二合とすこしになるのでしょう一人一日。御飯のお客なんかは出来なくなります。
いまに島田へゆくのにも、自分の分の切符持ってゆかなくてはならないことになるかもしれませんね。
ああ、有光社という本屋を御存知? そこで短篇集を出したいのですって。いろんな人のを出すのですが。インディアン・ペイパアは字引にしかつかわないのかと思ったら、その本やはそれを使ってポケット型にして一円の本にして五千刷るのですって。四月末に原稿が揃えばよいとのことですが。三百頁余で。どんな風に揃えられるかまだ見当がつきません。前の二つに相当入れてありますから。有光堂はお茶の本、仏教の本など出していて、自分のところでは二万は確実に読者をもっている、というようなことを云って居りました。一ヵ月に四五冊ずつ出してゆくのですって。何だか荒っぽい話ねえ。若し特別な支障がないと今年は今わかっている分で五冊まとまる筈になっているので
前へ
次へ
全236ページ中15ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング