。ではこんな紙で御免下さい。よみかえして見ていかにも塵っぽいガタガタ図書館での手紙らしくて可笑しくなりました。これも御座興でしょう。

 二月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 二月二十四日  第十七信
 十八日にね、一枚ばかり手紙かきかけて居りました。それにはこうかいてあります、
 ひどい風ですね、きょうは紀を夕飯によんだので、買物をしに出かけて、ビリアードの横を入って見たら、ふとんが干されて風にふかれて居りました。けさはずっと勉強していて、その間に云々と目のかわきの苦しさを訴えて居ります。本当にひどいかわきつづきでした。
 森長さん二十二日でしたか? それとも三日でしたか。ともかく、今は漸々《ようよう》ほっとなりました。
 忘れていられる時間が一日のうちに出来て、何と頭が楽になったでしょう。
 写真かえって参りました。割合早くかえって来たのも分るようでもあり、何だかというようなところもあり。
 きのうきょうで『文芸』のを終りました。「あわせ鏡」というのです。例えばたい子の小説、芙美、千代これらの人の作品は、一方に歴史をちゃんとうつして(正面から)いるもう一面の鏡
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