い様子です、そんなこともいろいろ又考えさせます。本の出入に一人の若い人がいるきりです、その人の襟もどこかの夜学のマークがついて居ります。四年というしるしがあります。
 それでも上野になかった本が三冊とも(平林たいの)あってうれしいと思います。上野にないものであるのもある。必要にしたがって、下拵えの勉強は図書館で出来るから大分便利になりました。大抵のひと、いやと申します。自分のものをかくということになれば、せいぜいこの位のもの、それも、気分をまとめるに役に立つという程度ね、どうしても。
 私の向い側の割合年とった女のひとは一心に英作文をやって居ります。となりには女学生がいて、地理をやって居ります。小さいガスストーブが一つあります。夜になったらあっちへストーブよりへうつることですね。森長さん、岡林さん終りましたからどうぞ御安心下さい。
 私はこんなノートをつかって居るのです。そして、大きいのんきな字でたてがきをしてノートとるの。
 ではこれから一しきり本よみ。どうぞ御元気で。あったかいようで風はさむいことね。西日が右の顔半面にさして、不安です。でもお客にせめこまれる心配のないのは何よりです
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