、中野のところ、稲ちゃんのところと一俵ずつわけました。
石炭が問題です。この頃は倹約で二日つづけてお湯を立てては二日ぐらいおくのですが、疲れるとこの二日がなかなかもちにくうございます。今少々あるのがきれたらさて、どうなるのでしょうか。まきでたいては時間が大変だし。マッチも大切な大切なものよ。うちではタバコのみがないからややおだやかですが。林町へおみやげに小さいマッチ二つ買って行ってやると、アーと歓声があがります。いろいろと面白い。
三十日は、多賀ちゃんの眼の医者へ行って、皮膚科の人に紹介されて、それから信濃町へおりて外苑をずっと歩いて墓参いたしました。丁度林町の一行と落合ってそこから霊岸橋のたもとの大国屋といううなぎやへ行って、夕飯をたべました。かえりに林町へまわって、お風呂へ入ったらかえれなくなって泊りました。三十一日は、午後から夕方まで約束があって人と会い。つくづく日本の婦人運動をする人というものの質について考えました。統計というものの正当なつかいかたをも知っていない。そして、紡績資本家にごまかされている。そういう風です。女の立場、女の心持というものに、主観的なものばかりで、科
前へ
次へ
全590ページ中62ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング