う。生活の地平線から消え去る多くの姿が必然にあるわけです。
それからね、紙の質と国力の話ね、それからつづいていることね、あれを無意識に書いているということでは困るわ。あなたも大変おこまりでしょうが、私も閉口だわ。だって、そうでしょう? ひとりでにかけてしまうことではないでしょう?
画家が白いものを浮き上らすとき、白い絵の具をぬるばかりではなくて、そのかげにこい色を塗ることで、白を浮立たせなければならないときがあります。犬が犬だよと云われて怒るとすれば、猿ではないよというでしょう。
私はうそから出たまことということを文学論の「人間に還れ」についてだって深く考えます。題材主義のこけおどしに陥っていて、作家の内的な構造とはかかわりなく小説が製造されてゆくことに対して、題材万能から人間に還れということで、論者は人間生活として必然な現実にかえれと云ったつもりでしょうし、そういう風にしか題材主義が土台妙なところから出発していることを突くことは出来なかったでしょうが、しかしやはりそこには論者の何かがあらわれている、そういう意味でね。方便的表現のつもりのところが、いつか主屋《おもや》迄とられると
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