露していて、しかも娘は、湯上りに足を出して爪を切って貰うことをあやしまないように育てたりして。茉莉さんという娘は、自分の知らないことのために不幸にされた哀れな女です。杏奴の方はずっと自分の常識で、世間の仕合わせも保ってゆくような人。杏奴は絵よ。旦那さんも。茉莉はものをかく方なのよ、どっちかというと。ここにも何かのちがいあり。
久しぶりにお目にかかって、寿江子はいかがに見えましたか? この頃すこし勉強で糖を出して居ります。でも大分落付いて、いろんなこと分って来て、追々ましです。ましになってくれなくては困るわ。
好ちゃんはこの次はいつ頃訪ねて来るのでしょうね、きっと私の誕生日ごろ(二月十三日)来そうな気が致します。あの子は一種のかんをもっていてね、私のよろこぶときを自然に会得するらしいの、奇妙ねえ。
おついでのとき、どうぞよろしくね。あなただって、たよりおやりになることもあるでしょう? どんな字をかいておやりになるの? あなたのことだから、きっとこまやかにうまい工夫をこらした生活法を話しておやりになるのでしょう。
そう云えば、鳥取の手紙すっかりおそくなって。
「寺田寅彦理博の随筆物
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