注8]をよんでいろいろ感じていたところであったので、このお手紙に「『敗北』の文学」について書かれていること様々に感想をそそります。あすこにあるいくつかの作品はずーっと前にもよんだのでした。そして、そのときとしての感じをうけたのでしたが、今はあれをみると歴史的に人間の成長というものが感じられ、おどろきます。一九二七年と云えば「『敗北』の文学」の前年でしょう? あの作品のもっている様々の特徴は、やはり非常にその人のものね。もとよんだときには、よむ心の主観的な感動と愛着とを先に立てて居りましたが、今はもっとちゃんと稟質としてそこにあるもの、そこから成育して来たものをくみとることが出来て、感じることも一層深うございました。何というつよく迅い成長でしたろう。音がきこえるようね。そして、そのつよい迅い成熟の過程であれらの作品にこもっている確《しっか》りした密度の高さ、やさしさ、感受性はちっとも粗大にされていないで、その押しでのびて来ている。このところもいろいろと私には興味あるところです。「三等室より」[自注9]は、もと私の感じとれなかったような、様々の内容をふくんでいて、そのテーマの語りかたそのも
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