子初めて来たの。では、ね。
十一月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十一月六日 第七十五信
けさ、四日づけのお手紙。どうもどうもありがとう。
表紙も心持よく思って下すって、うれしゅうございます。小磯という人にとにかくお礼の手紙出したら(本になったとき)奥さんからあいさつで、お粗末なもので、と何かたべものの礼へ答えるような文面だったのは面白うございました。画家の細君なのにちっとも絵画として良人の仕事感じていず、何か注文として感じているところが。家庭で仕事について喋る茶間の空気がそこに出ていて。
世間の母がというところね。全くそうだわ、それはそうだわねえと心に語りました。栄さんがさっき来たのでやっぱりその話をして、本当にそうだろうと云い合いました。私自身にそれがいくらか分っていて、ですから本当に今度はうれしかったと思います。安心した、という一言にどれだけのものがこもっていることでしょう。私にはその全量が感じられます。そして、益※[#二の字点、1−2−22]ゆたかに大きくなって、安心をよろこびにまでしたいと願う次第です。
お礼の手紙や一寸したおくりものへの答え
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