て是非来てくれというので、二月八日に行く約束しました。龍宮荘というのへゆくのよ。面白いでしょう? 旦那君のいないとき、昼間行くの。そのアパートにもやっぱり鼠が出ます、「人がいても出ます」とよろこんでいるのよ、「ここと同じこんで」と。可愛い気質です。そして、あなたに重ね重ねよろしくとのことでした。お体をお大事に、と。でも、このことづては例えば昨夜のようなときも何人かから貰いますから、大変どっさりなわけなのだけれど。では又ね。本当に悠々《ゆうゆう》と、ね。どうぞ。

 一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 一月二十五日  第八信
 きのうは電報をどうもありがとう。前便を出しかたがた市場へ、小樽のおばあさんにあげる手袋を買いに行っていたあとにつきました。本当にありがとうね。くりかえし、くりかえし、いろいろによみます。僅の字でもいろいろの声がして。ところが、それでもきょうは何だか病気のようになって午後まで臥《ね》ていました。風邪気のようでもあったのですが。何だか体じゅう切ないようで。ゆたんぽを二つもこしらえて背中と脚とあたためて、ひる頃妙なさむけはとれて、一時間ほど眠って
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