ます。一生懸命倒れの雄だろうと思います。だから、これからずっと相当小説ばかりかく決心をしたのは、健全にしかしその意識の栓をぬいて溢れさすためです。フロイドは意識のなかのそういうものを性的なモメントでばかり見ましたが、それは彼の彼らしさです。人間生活の現実は遙に多様で、フロイドのとらえ得なかったモメントを、或る作家は歴史的に感じるのです。人間は生物的生活ばかりでないからこそ、云わばフロイドが解いてやらなければならない女の心理的重圧もあるのだから。
 そういう意味で、私は来年へかけて出来るだけ努力して、小説もある精神の栓を内部的な沸盪でふきとばしたものにするところをたのしんでいる次第です。
 こんな作家としての心の生理、面白いでしょう? 同時に何か教えるところもあると思います。かりに私が、作家というものに対してその人々の正当な成育を促そうとしてゆく場合の扱いかたのような意味で。そういう場合を考えると、いかにすぐれた文芸批評家、評論家が存在しなくてはならないかということを痛感いたしますね。個々の状況に文学的に通暁した人がいります。あらゆる部面でエキスパートが要求されるように。このエキスパート
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