が小豆島から来るとき、子供の一切の衣類、自分の平常着、その他木綿、毛糸(但皆純[#「純」に傍点]ナリ)の全財産を大きい布団ケースに入れて送って、それはもう三ヵ月近い先のことでしたが、未だ着かず。遂に紛失ということがわかったのですって。ひどいわねえ。どこかへ間違って配達されたらしいの。そしたらあけて見て、そのままぽっぽらしいのです。まだ編んでないような毛糸もどっさりありました由。先ず子供のものでは大困り。皆着たきり雀の正月よ。栄さんと繁治さんケンカしそうになったりして。それからマアこれが三十一日でよかった、そとへでも出ようよ、というわけで、壺井の二人、うちの二人、佐藤さんの二人、この一隊が銀座へ出ました。一人も暮の銀座をこれまで歩いたことなしの連中なので(私のほかは)それぞれ珍しく。たかちゃんふしぎな気がしましたって。それでもかえりの省線かけられて、かえってふろに入ってねたのが、午前三時。
元旦にはゆっくりおきて、九時頃お雑煮こしらえて、二人ともちゃんとおしゃれして、おとそのんで、あなたのおめでとう武運長久をやって、一日ゆっくりして、たかちゃんのお喋りをききました。
いろいろの風があ
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