変遠くにおいて感じてさえ随分切迫した感情を経験していたのですもの。そして、今の思いになってみれば其に大変加わる立体的な奥ゆきがあって、その立体的なものは、男の心とまたおのずからちがった女の心と肉体との底に眠っているものの目ざめのようなところがあって。色あいときめのこまやかなこういう苦しさ。では又ね。
甲 三
乙 八
丙 二
[#ここから7字下げ、「乙」の行の下から]
このところ、でもいくらかごちゃついて。床に入っていて眠らなかったこと、どっちへ入れたらいいのでしょう。
本よみは休みです。じき又はじめますが。
[#ここで字下げ終わり]
ではおやすみなさい。
九月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
九月六日 第六十一信
四日朝のお手紙。あああなたは笑っていらっしゃるのね、私だってつり込まれて笑うけれど、馬のやせるのはたべるものがないときよ。そこが馬の馬たるところよ。私は人間で、れっきとした女で、だから肥ったってやせるときもあるというのは全くユーモラスね。しかし、ユーモラスという表現には、何と含蓄があるでしょう。何とこまかい眼差しのニュアンスがこも
前へ
次へ
全590ページ中371ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング