ました。ほかならぬそのことなのですもの。一つの道を歩いてゆく、そこにこめられている感動、一本の髪の毛にさわるその感動、渇きもとめる思いや清純なる憤りや深い哀愁が日々に映る、その意味からの題ですから。しかし題として上乗でないとは申せますね。気がついて見ると私たちの生活感が、いかにつよく歴史のうつりへの感想に貫かれていることでしょう。題は「一九三二年の春」以来、「刻々」でしょう、「その年」でしょう、「三月の第四日曜」又はこの「日々の映り」や。作家の生活の反映は微妙をきわめるものですね。
 仕事のためよそへ行こうかとふらつく気持。素直にフラつく心持として認めるのが正直のところと思われます。実験室的なものを欲するのではないの、単純に、うちのごちゃごちゃからホッとしたい気持なのね。自分が命令したり、さしずしたりしてやらないと、いくつもの顔がそろってこっち見て待っている家の暮しと、仕事と、その他と、一人っきりやっていると、いやになるのよ。そんなもの放たらかして仕事だけになりたいの。こんな心持は、仕事の源泉的ないそがしさなどとちがったものでね。きっと、二人のときがあって、フーッと云って坐ってしばらく
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