うな表情で多賀子が見たり云ったりするのを私が、そんな女くさいと笑い半分本気半分で叱ったりして夕飯すませたわけでした。この手紙はこれでおしまい。長篇の一節の筋がきめいたこの手紙。おもしろいところのある手紙、ね。

 八月二十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(「松花江の鵜飼」の絵はがき)〕

 八月二十日。こういう鵜飼いの風景もあるのね。きょう、徳さんがスミさんにことづけて、真鍮に七宝の模様の入った支那の切手入れをくれました。スミさんは茉莉《マツリ》花の入った支那茶をくれました。切手入れは小さいけれども、どっしりとしていいボリュームがあってなかなか気に入りました。呉々もよろしくとのこと。きょうは少々仕事しました。カメラがいいからもっと大きく見たいことね。

 八月二十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 八月二十一日  第五十七信
 午後二時。今みんなは豊島園へ出かけました。パンのおやつを御持参で。私はひとり。これから仕事しなければならないのですけれど、何だかまだ、けさお話ししたりしたことが心にのこっていて。これをかきます。
 ゆうべ、夜なか、雷が鳴って雨が降ったの御存じで
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