少し気持がわるくなったからもうこれでおやめ。本当にお気分はどうでしょうね。

 八月十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 八月十一日  第五十五信
 きょうの御気分はどうでしょう。さむいようなむすような天気ね。すこしはお落付きなさいましたか?
 きのうの「ひどく心配しなくていいよ」という気持と苦笑との交りあった極めて複雑な表情が、目にのこっていて、やっぱりこうして手紙かきはじめます。
 ほんとにどんなかしら。お眠りなさいましたか。
 専門家のこと、いい見当がつきました。おめにかかって申しますが。非常にふさわしいと思われる選定です。月曜日にいろいろこまかくお話しいたします、まち遠しい。
 この天候は一般に大変こたえているようです、いろんな人が調子をわるくしています。きょう『都』をみたら保田で稲ちゃんが急病で、鶴さん看病に行ったと出ています、何かしら、扁桃腺なら大したことないけれど。でも扁桃腺は腎臓になるからどうしたのかしらと心配です。あのひとも過労つづきですから。朝鮮旅行で随分無理した揚句だったし。
 私の眼の方は、きょう左の方に乱視の度の入っているのを入れかえて見ました
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