子供っぽいことですが。でもきらいだわ。自分の勝手でばかりやさしい声したりして。暗黙にケンセイしたり。大変むきつけに書いておやおやとお思いになるかもしれないが御免なさい。書くと下らないようなことだが、心持では腹の立つこともあるのだから、あなたは「ホウ、ユリはむくれてるナ」と思ってきいていて下さればいいのよ。誰に云う人もないと、昔話の木こりは木の洞に自分の云いたいことを云ったというでしょう、あなたは御亭主だから、私のジリジリもおききにならざるを得ないのよ。あしからず。
 面白いのねえ。本当にまともな気持でたよりにしているのかと思うと、信頼という本当の気持は知らないで、スルリといつか利用の面へまわってしまっている。だからあいては、本気でためを思ってやって、やがて腹を立ててしまうところが出来る。
 ところで、富雄に召集がかかって八月一日に出かけます。何《ど》ういう種類の召集か分らず。明日たか子が御相談いたしましょう。いやなところを思うとムカムカするが、一人の若い女が、ともかく世の中と組みあってゆくのですから、同じ利用するにしても大局的なましの方向に役立つ以上、利用されてやるつもりでは居りますか
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