れから、駒込病院に入院して、手術が終ったのが午前三時。まさに盲腸はやぶれようとしていたところでした。それにくっついていた由。おかげで命一つを拾いました。うちへかえったのは朝の七時。
 何しろ、この頃自動車がないでしょう。青山へゆくんだって省線、市電、白山にゆくのだって市電、夜なかにかえれず、朝を待つという次第で、病人のときは実に閉口ね。宮川さんは小さい体を実にマメに動してくれるので、ありがたく思いました。
 戸台さんたらお酒をのむのがバレてね、腰椎《ようつい》の注射がきかないのですって。腰ツイがきかなければ全身もきかないのだそうで、局部で手術うけて、痛がってうなっていました。アルコールとは何とひどい害悪でしょう、こわいと思いました。命にかかわるような病気のとき、アルコールと性病とは決定的なマイナスですね。「これにこりてお酒やめればいい」と云ったら宮川氏「イヤ、安心して益※[#二の字点、1−2−22]のむかもしれません」と。
 経過は大丈夫でしょう、昨夜窪川さんにもしらせてやりました。びっくりしていた由、きょう鶴さん行って見るとのことです。
 右の次第で、きのうの日曜はへばってしまってい
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