るのにこんなに手がねとつくところを見ると、又きょうも三十三度でしょうか。
十七日朝というお手紙が珍しくけさついて、その返事もここでかきます。
その前にね、何だか気になることがあるの。あなたは「過渡時代の道標」のとき、ここで下拵えなすったとき『新潮』の昭和二年というのなどをずっとおよみになりましたか? 論文の見出しのところ(目次)へ万年筆でカギをかけたりなすったことがありましたろうか、そんなことはなさらなかった?
線とか棒とかにやっぱり癖はあるものと思うのです、気になるというのは、二年のどこかに私の日記で「狐の姐さん」という題のがあって、それにも例外にカギがかかっているの、そして、七十二頁というところがボヤケているのを七とインクでかいてあるの。
そんなこと気にするのはあなたにとって全く片腹お痛いことでしょうか、もしそうだったら御免なさい。でもね。七という字にも、と(字の頭のひっかかる筆づかいに)見覚えがあるように思うの。これも妄念の一種なりや。もしそうならば夏なお寒いような工合ですね。どうぞあしからず。
あなたも、目録室を出て右へ行って、一寸段々のぼったところでおよみになりまし
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