より(封書)〕
七月十四日 第四十六信
今、別に謄写代についての手紙を一封かき終り、これをかきます、ああ、何とひどい風でしょう、グラリと二階がゆれます。あおりをくって。南の方がつよく吹くときはいつもこうです。
七月八日づけのお手紙への返事から先ず。
しきぶとんのことは承知いたしました。ちゃんと用意しておきましょう。スフ綿でないのがこしらえられるからようございました。でもね、この頃細君連の神経はこまかく働いて、どのうちでも、綿をうちかえしにやると、スフの方ととりかえられることを心配して居ります、私も人なみにその心配をします。人情がさもしくなる、ということは決して大きいことから成ってゆくのではないところが面白いものです。
面白いといえば、この間、岡本一平がアインシュタインにくっついて歩いたときの書いたものをよんでいたときに、日本人が何かというと、面白い、という表現をしているということを特にあげていて、興味を感じました。東洋風の大ざっぱな、直観的な、そして腹芸的表現ですから。面白いわね、という表現でしか表現しない話ということの意味も新しく感じられて。
私が忙しいときほど、早寝
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