の四月頃まで世話して、この夏休みフミ子を遊ばしてやって、それで私の役目はもう十分に終ります。というようなおはなし。
    ――○――
 こちらでも切符で肥料を配給するようになってなかなか新しい事務が殖えて居ります。切符を役場へもってゆかなければなりませんし。若い二人は昨夜十一時頃旅行からかえりました。宿に電話しておいてよかった、以前とはまるでちがった人のこみかただったと達ちゃん大満足でした。花嫁も大分なれて達ちゃんにも口をきくようになりました、人の前で。今、お母さんと、肥料の切符の整理をして居ります、それをうちの帖面にひかえておいて届けるのです。いろんなそんな事務がふえて、この頃のは商売ではなくて事務だということになって来ているのがよく分ります。
 私はサッカレの「虚栄の市」をポチポチよんで第四巻までの終り。一八一二年ナポレオンの退散前後のことをかいていて、トルストイの小説を自然思い合わせ、イギリスのリアリズムというものを考えます。この「ヴァニティ・フェア」は面白い、極めてイギリスらしい小説です。こんなイギリスらしい小説の世界というものは二十世紀の初頭以後はなくなっていますね。サッカ
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