いていて、どんな御気分のところへ着くのかしらなどとも思います。ああ、でもいずれにせよ、秋風よこころあらば、なのだから同じことですけれども。
寿夫さんから手紙来。おたよりを頂いたと。体がよくないのだそうです。どうしたのか。のみすぎでしょう。年賀のあいさつに、お酒をやめろというと野暮のようだが、体は正直な生きものだから、と書いてやりました。
林町の連中は皆丈夫。多賀ちゃんも幸《さいわい》、風邪もひきません。これは何より。私のはまだ、何度も鼻をかみます。今夜どうしても出かけなければならないのに、こんな風でいやだこと。乾いて、こう風がふいて。東京の一番わるいところですね。
一月も、もうじき二十三日ね。火曜日ね。満月は二十五日。大変くわしいでしょう、当用日記にはこういうこともあります。二十三日までに玉子何箇になるでしょう。
呉々かぜをおひきにならないように。あなたは何日がお書き初めでしたかしら。
一月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
一月十三日 第五信
けさ書き初めをいただきました。(六日づけ)ありがとう。風邪をお引きになったのでもなかったのね。そのことを主に
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