のをこらえるため)眼をキラキラさせて(これはうれしさもあり)皆にあおいで貰っています。そこへ、私のところへ御面会になりたいという方が制服でモールつきで御来訪。敬意を表されたのだそうです。御婚礼の場所へまでわざわざ御苦労様とよく申しました。常識ではないことですからね。(下関、徳山間海港警備という新しいシステムが出来たのですって、本年から。万端の様子がそのために従前とはまるでちがいます)
 それからこんどはお仲人の河村夫妻、写真屋さん夫妻が正座になおり、新郎新婦はそれぞれの親族の末席に坐ってお膳が出ました。この御仲人は二組の内輪のもので、並んで坐って、うちわの話みたいなことしていて、ちっとも双方の親族の間に話を仲介することなどしらないのです。河村の主人、袴を膝の下に敷きこんで坐ってだまってのんでたべて、おかみさんがスーとすましてわきからその袴をちょいとひっぱると、あわてて膝の下から大切の袴をひき出して坐り直すという好風景です。お母さんというひとの武骨な指にダイアモンドが輝いています。お盃を女中がとりもってあっちこっちへ儀礼的にうけわたしするだけ。ちっとも話をしないの。互の親族は。これは大変
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