人と出版をする人とでは、この点で全く相反したような見解にいて、今日の文化性としてなかなかヴィヴィッドです。文化の面からの必要とか価値とかいうとそれははっきりしているのね。その他の面からのそろばんになると、肩越しに鬼がのぞいている幻想にとらわれるのでしょう、又本当にのぞきもするしね、いやあね。
封建的乱暴さのこと。いろいろ非常にむずかしいのです、ふだん一緒に暮していませんでしょう? いろいろ知らないわけでしょう? それを私が知っているとすれば、それは咲か寿が話したことのわけでしょう、それらのいきさつから、その二人があとで却って妙になるような場合の経験もあったりして。あのひとは昔から私がじっくり腰をすえて二時間もかかって話せば、そのことは十分わかるし納得出来るのです。けれども涙なんか出すほど本気で傾聴して「ほんとに僕は不思議と思う、だって姉さんはちっとも自分の得になりもしないのに、こんなに考えていてくれるんだもの。僕も二三日今の気持でいられたら、すこしは偉くなっているんだけれど、一晩ねるとケロリとしてしまうんだから困る」というのですものね。決して愚弄して云っているのではないのよ。本当に傾
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