とった「チボー家の人々」の第六巻です。白水社から送ってくれてずっとよんで居りますが、少くとも主人公ジャックは真実をもってかかれています。「ジャン・クリストフ」なんかも今は、又別様の面白さでおよみになるでしょうね。こんど御相談しましょう、どっちかをおよみになったら? 人間生活の奥行の深さ、向上してゆく光景を悠々と描き出したものが、という御希望に、それはこれよ、これなのですけれど、と自分のものを示せたらどんなにうれしいでしょう。
人間生活の奥行の深さ、この表現は非常に豊かで含蓄的で、そして私のリズムに響きをつたえずにいないものをもっている。深い奥行のなかに、生きているもの、脈動しているもの、人間の行動の真の動機ともなっているもの、そういうあらゆる生々しいものがあるということは何とそれをまざまざと芸術に表現されてあるものとして読みたいでしょう。そのように表現しているものとしての作品をかきたいでしょう!
この正月に書いた「おもかげ」と「広場」とは、そういう人間の一つの姿と歌声ですが、それはひどい風に吹きちぎられて途切れ途切れに、しかも熱烈に響く歌声のようなものとなりました。
この二十六日
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