ないの。よめるかしら。よめないかしら。そう思いつつ封をしたところです。『文芸』は只でさえ、ミスの多いところです。
ひどい風になったこと。例によってうちはガタガタ云って鳴りはためいて居ります。
御気分はいかが? そちらは、こんな風でも、仰向いてねている顔に天井うらの無数の埃がふりかかる感じだけはありませんですね。
きのう、私は顔を仰向け青葉のそよぎがそのまま自分の体となったような気分でかえりました。
今年私は桜も美しいと思って見たし、若葉の色もこんなに眼や気持に沁みとおって。どこやらしず心がかえって来たのかしら(いい意味でよ)。もしそうだとすれば、うれしいことね。そして、そのよって来るところの意味で、あなたもやっぱり御満足でないこともないでしょう?
きょうは些か閑暇ありですから、すこし詩集の話をいたします。あした、あさって、おいそがしいけれど、きっとこれはその後のすこしのくつろぎのとき着くでしょう。詩集とは別だけれども、きのうそんな心持で、夜もずっとその心持がつづいて、胸が余り優しくきつくしめられて、何だかまばたきしても、それがこたえる有様でした。だって、私がまばたきをすれば睫
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