たべてそこへ『都』のひとの来たのを、御飯たべたべ喋って(仕事のうち合わせ)出かけました。
 三日まで行かないつもりでしたけれども、どうしてもそれではもたないのですもの、仕方がないわ。御褒美をいただくというわけでダーとかけつけたわけです。
 それからのんきに根津山の新緑の美しさ、その新緑のなかに黒い幹々の新鮮な色を絵にかきたいと思いながらかえったら玄関にかけて待っている人。子供のための雑誌をやる人です。チャペックの訳をしたりしている人です、チャペックのあのつよい面よりはそうでない面からチャペックの芸術にふれ近づいて行ったという人柄の人です。私の知っている娘さんと結婚したばかり。その人といろいろ編輯上の話をしていたら『古典研究』の若い人が来て、秋の特輯の下相談です。玄関で中腰で話す。私に芭蕉の抒情性をかけとのこと。日本文学の抒情性特輯の由です。私が先頃『新女苑』に芭蕉のことかきました。それがよかったからとわざわざすすめた人がある由。しかし三十枚もそういうものをかいていたら又々私の小説は消えてしまいますから、大体においてことわります。日本文学の抒情性というものは、それは正確に扱われなければな
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