私がわるいのではないのよ、余り詩が美しいのがわるいのよ、美しさに感動しそれを忘れることの出来ない人間の心が、わるいのならわるいのよ。
さて、人造バタは、のりのようということについて。全く困ったことです。どこでも手に入れにくくなりました。四月一日からタクシーが価《ね》上りになりましょうし、バスもやがて今までの三区を二区にするでしょう。汽車賃は四捨五入でなくて、二捨三入で、銅貨なしのかんじょうになりました。玉子は十ヶ八十銭のわり。そちらのパンはいかがですか。この頃東京パンの食パンもとかく品切れです。いろいろの菓子類全く減りました。小豆が一升七十銭の由、どうしてアンコがつくれるのかと思います。だからきのうも笑って、果物だけはマーガリンも屑豆も入っていまいしサッカリンもないから、これからおやつは果物にしようと云ったようなわけです。これは本当のところよ、おそばだって妙に重くて粉が変になっている、あなたに鍋やきを云いつけに行った藪重、あすこも。
あなたもバタがあがれなくなったらよく果物を召上る方がいいでしょうね。油類もいいのがなくなりました。うちでは衛生上、豚の生脂肪をとかしたのをつかいます。
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