が全部ではなく宮本文書目録そのほか一通二通のもの、とりのけとしてあります。先に写してお送りした分と参照して御覧下さい。
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失くしたと云ってもある筈と心がけていたので出現しました。眼玉の御威光のみには非ず、念のために。キラリとすると正気づくとなど御思いになると閉口故。
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八月四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
八月四日 第五十四信
雨ね。すこしわきへよって、場所こしらえて頂戴。ああ、これでいいわ。
私の変なのは、やっぱり眼ですね。でも、何とひどいのでしょう。きのうかえりに近藤というお医者へ行って、計って貰ったら、右の方が 2.0 だったのが 3.0 になっていて、それは進んでいるわけです。左の方はやっぱり 2.0 でいいというわけで、もとのしらべでは左右同じな度に少し乱視の度がついていて、右が 0.5 左が 0.25 ついていたの。その乱視の度はとってしまって、単純な近視 3.0 と 2.0 となったわけです。それですぐ目鏡やへ行ってそのように新しくして、かけたら、今度は右の方はスーと頭のしん迄楽になったのに、左がまだきっちり合っていないようです、今日も左の駄目なのが益※[#二の字点、1−2−22]はっきりして来ているのですが、日曜でしょう? 明日迄待たなければならないの。こうしていると、ついどうしてもよむか書くかして又つかれそうだから、栄さんのところへでも行こうかなどと考えているところ。右は楽なのに左が苦しくて、その片方の眼から頭がこの間うちの苦しさの微弱なのになって来るのがよく分ります。でも何とひどいんでしょう。
きのう電報頂いて、ありがとう。眼ね。内科的な原因から眼がどうなっているというのではないでしょう、血圧のこと本当に大丈夫よ、尤も眼の調整がすっかりすんでいくらかでも妙ならすぐやって見ますが。
体のこと非常に注意しているもんだから、体力で或程度まで眼の自身の力で保っていたのが、つかれたので突発的に自覚されて来たのね。
頭のああいう工合の苦しさ、ひどい気持でした。何しろ頭でしょう、致命的な不安です、その感じを自分に誇張しまいとして(そういう精神的な不安を)。突然だし頭グラグラでまともに歩けない位だし、実際たまらない気持でした。いやねえ。これには、一つ原因があるのよ、ずっと眼を見て貰
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