枚描かそうと思うと、御機嫌とってやってさ。字が書けないと同じようだもの」しかも、ちょいちょいとやはり字でない形で見て欲しいときがあるのですから。この二枚を切手貼ってむき出しに送るか、さもなくばよごれないようにして送ろうかとつおいつの末、すこしおそくなってもよごさずに届く方法にきめました。
島田からお手紙で、富雄さんが手つだうことはお断りになったそうですね。運転手が、却って気兼ねだからというからとのことです。仲仕もおいていらっしゃる由。夜の仕事はやめて安全第一にやっていらっしゃる由、そちらにもそのようなおたよりがありましたでしょう。野原では春になって土地を処分なさる由。林町のうちは水道が凍って風呂がたてられず、目白へ風呂を貰いに来る由。大笑いをしてしまいました。きっと今に「今何時でしょうって目白へききに来るんだろう」。だって林町は家じゅう電気時計で、停電すればそれっきり。目白のはボンボン時計ですから。周囲の一般のレベルをぬきにして一つの家の中だけやったって、不便のときは、極度に不便になる。こういう悲喜劇があるから、私は石炭が質を低下させられるつ[#「るつ」に「ママ」の注記]れ煙突掃除を
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