りの家でほんとにくつろいだ気分でしたが、やや寝苦しかった。きのうは午後一寸(二時間ほど)横になってあと茶の間にいた、座椅子にもたれて。国男さんがひる頃来て、お祝総代ということで喋って行きました。そのときほんのお祝のしるしと云って仰々しい紅白の紙包をさし出した。お金が入っているらしい様子で、上に御慶祥と書いてあります。ふーん、この頃はこんな字をつかうのかしらと思って、これはどういう意味なの? と訊いたら、その通りだからさというわけ。御軽少の音にあてたのです。大笑いしてしまった。正直に訊いてよかったと。だって、私は真正直にこんな字もつかうかと真似したら大笑いのところでした。
きょうは、只今寿江子がそちらに出かけ。榊原さんとおひささんは、日本橋の方へ、おひささんのお年玉の呉服ものを買いに出かけました。なかなか、恩賞はあまねしでなければならないので、私は大変よ。おひささん、寿江子(これはお正月のとき羽織|半身分《はんみぶん》せしめられてしまった。あと半身《はんみ》は咲枝のプレゼント)榊原さん、林町を手伝ってくれた女中さん、本間さんのところのひさ子ちゃん、病院の先生二人。等。大したものではなく
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