ました。坊主が自動車に重りあってのって、どこかへ(お彼岸だから)出かけてゆきました。そんなものをも見て珍しく散歩し、夕飯をたべ、かえりました。ター坊のおっかさんの話、本当に真率でいい心持だし面白い。本当は東京にいたいのですって。しかしもし万一のとき心配だからと云って、他の子供たちがきかない由。
島田からお手紙が来ました。お元気で、働いているものもいい若者たちだそうです。甘党だから何かと思っているとありますから、何かお送りしましょう。隆ちゃん五六月頃には渡支の予定だそうです。六月には、皆留守だから御法事も大したことはせず、達ちゃんが秋にでもかえれば(只そうお思いなのか、何かよりどころがあるのか不明です)すぐお嫁さんもたせなければならず、その折は私にぜひ来て貰わなければならないから、この六月には来ないでいいということです。達ちゃんのことはそれとして、私は、皆がいないのだから猶一寸でも行ってあげたい気持です。達ちゃんが手紙で、『文芸』に「早春日記」(私の題は「寒の梅」、もう一人のと集めてそういう題)が出ているので懐しく、雑誌送ってくれと云ってよこした由。あちらにないそうですからこっちから送
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