ティの増大について、人間らしい積極性というものが、決して低俗な几帳面さと同じでないということについて理解させる。(益※[#二の字点、1−2−22]よく、という意味)。〔中略〕
 何と私たちは尻重でしょうね(この複数は、あなたと私というより、私程度の誰彼のこと)人間よりも動物らしいでしょう。生活にあるはっきりとした美しさというようなものの味い。非常に高い程度の簡明さ。それは決して単純ではない。亜流的文学は、この頂点を目ざさず、紛糾の現象的追っかけに首をつっこんだきりです。はっきりとした美しさの現れるためには欠くべからざる集注力、統一力、ひっぱる力。えぐさもまたその一つとして含まれていると思われます。そういう情熱の湧き得る人生の源泉はどこにあるかということ。ここの究明に至ると、そこにある新鮮さは不死鳥的なものがあります。
 ね、私の宿題の表も些か形式からその本質へすすみつつありますね。
 ○達ちゃんから手紙が来ました。私の書いたのへの返事。丈夫にしているそうです。慰問袋着のも翌日。北京官話と苦力《クリー》の用語とはちがうがあの本有益の由です。
 ○ロンドンの本やセッカア・アンド・ワーブルグ
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