だというような固定的なものでないことはわかります。あの掃除では、ゴミはこれ程たまるものかと感歎したのですもの。掃除のあと、スーとして寒いようになった程ですもの。そこへその肌にあたる空気の工合におどろいたのですもの。真の愉しさ、生活のよろこばしい共感が、高まるための相互の献身と努力にしかないと云うことは、明らかなのだと思っていて、先頃はそういう努力がないとか足りないとか云うことがあり得ざることといきばって、そのことにだけ執していたから、哀れにも腹立たしき次第でした。そういう折のあなたが私を御覧になる独特の表情を思い出すと、切なかったことも思い出し、涙が滲むようだけれど、ひとりでに笑えもします。実にあなたは表情的なのを、その程度を、御自分で知っていらっしゃるでしょうか。唇一つの工合で私はもうハアとなってへこたれることがあるのを。こわい、こわいこわさ。そして全くそのこわさの深さに深くあり豊富に溢れるその反対のもの。この机の上の瓶から紅梅の小枝を折ってあなたの胸に插しながら、ききたいと思います。あなたはどうしてそういう方? ね、どうしてそういう方でしょう!
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