、二軒ばかりできいたが。空いている家かと思ってきいたとき。空巣では私たちも笑う思い出がありますね。動坂の家で。あなたの大島だけぜひ出させろと私がねじこんだというようなゴシップつきの。そして、その一味の婆さんが一緒に弁当をたべるとき、きっと私に向っていただきます、とあいさつをしたという世にも滑稽な話。滑稽でも空巣とのそういうようなめぐり合いは恐縮です。
さて、一月中の表を思い出してつける、これはほんとの大体で今これをかくというのも気がさすようなものですが。手帖を見ると、成程一月に入ってからは計温書いていないで、二十九日ごろから又つけて居ります。
○一月一日から退院する一月十日まで。朝七時半。消燈九・三〇。熱は平均朝五・九ぐらいから六・二三分(六分どまり)でした。
○退院後は、朝さむいし、起ききりにならず暮したので、朝九時ごろ夜は十時ごろ消燈していたと思います。熱はもういいことにして頂こうと思ってとらず。
十七日、初めて面会に出かけました。二十一日にゆき、二十三日にゆき、二十七日にゆき、三十一日に行って居りますね。十七日ごろからもう昼間床につくことはしなくなっていたと思います。それ
前へ
次へ
全766ページ中133ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング