が退治られて、きのうも二時間余、きょうも二時間近く歩きまわって足がくたびれただけというのは実におどろくべきことです。よこはらが苦しく、すこしどっさり歩くとおなかじゅう苦しくなったときの気持と比べると。気がつかれる程度のちがいは相当です。
二月ちゅうは毎日ではなくと考えて居りましたが、もう毎日にします。
○有斐閣の本、代金引かえで送るよう注文したから明日あたり着くでしょう。
○いまごろは待ちどおしくて而してこわい手紙がその辺のポストに入っているでしょうか。鉄の赤ポストは公園の鉄サクやマンホールのふたなどとともになくなります。瀬戸もののポストになります。街の燈柱もコンクリートになるのでしょう。『片上伸全集』は興味があると思いますがいかがでしょう、私には心ひかれるものがあります、手紙が収められているそうですから。では明日。
二月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月十九日 第十六信
又ひどい風になったこと。二階は縁側なしだからしきりにガラス戸ががたついて居ます。
きのうはあれからかえったら、玄関に男下駄とインバネスとがあり、誰かと思ったら、いつか手紙に書い
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