まうものではあるが、私たちの生活にあっては、極めて勤勉な倦むことを知らぬ役割をもって居るものですから。こういう気持は面白いこと。余り欲しいものがはっきりしているので、却って思いつかないようなところ。たべてしまいたいようなだけというところ。あなたも非常にねだられたくていらっしゃるでしょう。みんなみんなユリにやりたいとお思いになるでしょう?
それがつまりはおくりものね。私はそのおくりものの裡に顔をうずめます。
では又。十日に。こういう紙は余白が多くて惜しいこと。
二月十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月十一日の夕方 第十四信
今五時すこし過たところで、寿江子がおひささんを対手に台処でおかずごしらえをして居ります。私は二階の机のところで、大変珍しそうな顔つきをして、幾分口をとんがらして、しきりにいじっていたものがあるのですが、おわかりになるでしょうか? これを書いているところのものです。万年筆。きのうあれからかえりに文房堂へまわりました。お話していたペン先を買うために。ところが、ついこの間は一グロス 3.80 であったのが 4.50 になって居ります。二年足
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