は大変面白いと思いました。自分がいつか世帯もったら、やはりいろいろ責任を負ってやらなければならない、そんな風に現在は考えないのです。だから余分の仕事みたいに思うらしい。でも、派出としてはわるい方ではありませんからどうか御安心下さい。
 ホーサンがなくなりそうというので一ポンド買いました。クレオソート丸は隆ちゃん、達ちゃんにいつも送ってやるのですが、これもあやしいものです。輸入薬の由。
『新潮』の写真につける短文「机の上のもの」というのかきました。いろんな机の上にあるもののこと書いたのです。例えば、そこいらの文房具屋にざらにあるようなガラスのペン皿のこと。嘗て柳行李のなかから、紺絣の着物やめざまし時計などと一緒くたに出て来たそれは、こわしたりしたくないと思ってつかっている、というようなこと。写真の下にかく文章なんてむずかしいものです、なかなか。サラリとかくのには。妙ね、女のひとは多くその写真に即していろいろかく傾向です。或種のひとは、そういうところで抜《ぬか》らず自家広告をいたしますし。
 この頃夜よくお眠りになりますか?
 私は大変ねむいのです。なるたけ早くねて、きのうも十時前ぐらいでしたろう。眠るのがたのしみというようなところがあります。今夜もどうも早くねむいという傾です、どういうわけなのかしら。マア結構ですが。なるたけどっさり眠って、そろそろ又眼の色をかえなければ。
『セルパン』に「女流作家をめぐる論争」というのがあって、何かと見たらそれはイギリスの批評家のアンソニー・ウェストが『ニュー・ステイツマン』で四人の女流作家の書評をやって、婦人作家 woman novelist のまわりに lady novelist 貴婦人作家という名称をつくって、女の作家の下らなさを評しているのに対して、ミチェルとロニコルという作家が抗議しているが、それが又他愛なく、経済や政治の知識があって、その方面の著書もある婦人作家ネイオミ・ミチスンが、一般にヨーロッパ社会の一部に生じているそういうつまらない性的対立を助長する風潮にふれ、現在の不況時代に女性があらゆる部門から駆逐しようとされているということを抗議しているのでした。
 ミチスンの抗議にしろ、まだやはり婦人作家というものをごく一般性で云っている。日本の婦人作家がもしこの論争に加われば、彼女は、婦人作家の質にふれたでしょう。婦人作家
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