オていたのだけれど、どうも、あなたの着物をサラリとひろげという情景は展開しそうもありません。そちらで着るには猶しゃんと縫ってないと、あっちがずり出しこっちがひっこみで妙な袋になってしまうでしょうから。
ユリのかわきもやや可となったら風邪。笑えてしまう。きょうはそろそろ又十日分を書き出す頃ですね。
十月十一日 │ 六・五〇 │ 一〇・三〇 │
十二日 │ 七・〇〇 │ 九・五〇 │
十三日 │ 六・一〇 │ 一一・〇〇 │
十四日 │ 七・〇〇 │ 一〇・四〇 │ 読書98[#「98」は縦中横]頁。
十五日 │ 七・〇〇 │ 一一・〇〇 │ 余り追つけ追越せでもなかったけれども。
十六日 │ 六・四五 │ 一〇・一〇 │
十七日 │ 六・三〇 │ 午前一時 │ 皆がかえったのが十二時すこし前ですもの
十八日 │ 七・三〇 │ 九・四〇 │
十九日 │ 六・二〇 │ 一〇・三五 │
二十日 │ 七・〇〇 │ 一〇・〇〇 │
〔欄外に〕ダラディエの『フランスの防衛』Defence of France 三越に注文しましょう、若し来たらおよみになるでしょう?
きょうはもしかしたら太郎が来るかもしれません。大久保の方へ外套の下縫いにゆくのですって。アカコをやきもちやいて、「お母ちゃまは何故赤コばっかり可愛がるの」と云うそうです。
この間からちょいちょい思うのですが、私がこれまで何年かかいた手紙で、去年の分、自分で考えるとどうしても気に入りません。自分に気に入らないということのうちには、自分にとって深い教訓があるのです。いやな手紙が多いわね。詰り何というのでしょうか、斯うすっとしていないのが多くて。そういうすっとしなさの原因を考えて、学び省るところ多いわけですが。あの時分あなたがいろいろ云っていらしたこと、やっぱり忘れることが出来ないから、折々思いかえし、すっとしなかったことの原因にふれて云われているそれらのことは当っていて、そして急にはなおらない、二三年かかると云われていたことの真実もわかります。どの手紙も何だか平らかでない感情の波の上でかかれているような気で思いかえされ、それがいやですね。あなたも恐らく、折々古い手紙くりかえして下さるとして、あんまり去年の分には手がのびますまいでしょう。アッペタイトがおこらない。研究としては
前へ
次へ
全383ページ中329ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング