チたあとは、きっとお疲れだろうと気がかりです。この間うちはやむを得なかったの、火木土だもので。この次は重ならないよう気をつけます。
 御注文の本、三冊はあって速達しました。月曜お手元につくでしょう。
 それから計温器のことは安田博士にききました。あのひとは呼吸器の専門ですが、やはり人間の体と自然との関係の微妙さを経験によってつよく感じているたちですね、明治時代、呼吸器に関する専門家は、熱がなければよし、あればよくないと、きかい的に扱ったが、現代最新の方法では、本人の体の気分の自覚で、無熱に近く或は無熱でも、自覚のよくない感じがあれば、それを無視せずやってゆくのだそうです。反対の場合もあるわけです。実に箇々別々の由。絶対安静という共通な注意のほかは、全く一人一人自分自分で発見してゆくべきものをもっている由。それはそうでしょうね。一分計の細いの(ジールなどの型)は三分。平型は一分計でも五分の由です。それで完全の由です。よろしくとのことでした。神経質になって拘泥するなどのことは決しておありなさるまいからと、私が却って、はげまされる形でした。
 どうか呉々お大切に。私はすこし気になることがあるの、お笑いになるかもしれないけれども。この前のときは、謂わばちっともいそいでいらっしゃらなかったでしょう? よくなる時期について。今回はどうでしょう、いくらかせかれているところないかしら。何だかいくらか前とはちがいそうです、同じ悠々と云っても。どうぞどうぞ悠々とね。今度の方は先とちがって慢性の型になっているでしょうから、悠々の内容も又その時期としての特徴があるのでしょう、おのずから。本当にゆっくりと御養生願います。きっと上手に持ってゆく術を御会得と信じて居ります。
 それからね、金曜日は全く悲観したの。あれから目白へかえって出来ている布団をお送りしようとしたら、どうしたとんまか布団屋が綿を入れすぎて来ている。あの場所を現に見ていて「はい、これが夏の布団」などと出されるものではないの。困った! 困った! 連発してしまいました。寸法が普通の夏ぶとんと云われているものよりずっと長いのです、だもんだから、きっと厚い方がいいと思ったのでしょう。うちわでパタパタやり乍ら散々困ったが、どうにも仕様がない。そこで、急に決心して、又着物着て西川へ行って、ちゃんとしたの注文しました。そのため三日おくれまし
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