A私にしろ機械的に考えては居りません。私はこのごろ自分として勉強もしているし、気分もはっきりしているので、先達のうちのいろいろのことから、あなたが、私の些事なるが如くあって実は本質的なものという点へ、視線を鋭くお集めになったことも十分よくわかって来ています。だから、そのときその場では、何だか云って見れば痛くない腹をさぐられる式に感じたことさえあった、それが、大局からの問題として、その点に触れられてしかるべきことが納得されましたから、気分的に苦しむことはなくなりました。
 本の装幀は五十銭でした。但これは例外のねだんです。本を余りおよみにならないように。この間てっちゃんが、そのことを云って心配していました。あなたの速力では決して読みすぎるように読んでいらっしゃらないのはわかりますが。十六貫五百おありになるって? きのう咲からききました。「あら? 知らないの」と笑っていた。今月の二十三日はお休みなのを知っていらっしゃいますか。花の鉢をたのしみにしているのに。お母さんは、私をすこしは甘えさせてやれと仰云らなかったでしょうか、一寸伺います。

  お約束 十一月一日―十日
          
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