フものに、その狭さで扱うかということについて。
 ヨーロッパ、アメリカでも、歴史の回転がはげしく感じられているらしく、ドス・パソスはアメリカ「USA」という題の小説を書いている由。イギリスでも各社会層のタイプを描いて現代を示そうとする作品が出かかっている由。あっちの文学がジョイスの心理主義から押し出されて、ロマンティックな方向と新しきリアリスムの方向とをもつことはこの前によんで、手紙にかきましたが、こういう作品は果してどのような実力を内容しているのでしょうね、現実観察に当って。
 そう云えば、あなたはもと、「猶太人ジュス」という小説をおよみになりましたろうか? きっと読んでいらっしゃるでしょうね。その作者ホイヒトワンガーは、ジイドの紀行に反対するものとして実に誠実溢れた旅行記をかきました(一九三七年)。翻訳は売り出されると間もなく引っこめられたが。ドス・パソスは別に『戦争のひま』というような題の旅行記を出しました。紹介批評に、小説家としては幾分表面的な場合もあるだろうがと条件つきに、本の面白さを云っていた。私はこの作家については知りません。
 入沢達吉博士が死にました。科学者として、死
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