トいた今日の文学についての覚え書を書こうと。たのしみにして、今年の初め書いた百枚ほどの「今日の文学」からすこし進歩したものをかきたいと意気ごんでいます。前の分と比べて、自分でどの点がましになっているか意識されるだけ、自覚した努力で書いて見ようと思って居ります。ただ楽に、いわば自然発生的に書くのでなくて、ね。
葉山嘉樹が「幸福」という作品をかき、その中の百姓に「幸福とは結局自分ひとりが、はたにどのようなことがどうあろうと、その日その日をどうやら過していれば幸福ということになる」と云わせているらしい。川端康成がそれを評して「こういう考えはこれまでたくさんの人がもっていたが、文学にこういう形で現れたのは珍しい。だが、幸福とは果してそういうものか。そういう状態で幸福と云い得るか」と疑問を発している。この疑問でさえ、ある感動を与えている有様です。又、暮しの急激な変化は、歴史の転換を感じさせるので、若い作家の間で祖父、父、現在、と三代の推移を描く欲望がある。彼等は、それを短い小説に、家系を主として書いている。ここにも非常に興味ある諸事情が蔵せられているわけです。そういうテーマを何故百五十枚ぐらい
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