スから見れば、それこそ独り合点だのにと思う点をやはりそのままに持っていた。初めてきのう家へ一寸よって来たら、これまでよりは変って、家の中のことでも主《あるじ》風に構えていず細君を手伝っているが、そこに明るい方向へ努力している自身を味っているところがあって、何だかやっぱり心配なところが見えた。太い声で「おーい」と妻を呼びつけていたのが、今はそうせず、自分から茶盆をもって手伝う、だが、何だか質は同じことが裏返された形で出ているのではないかと危惧される。本当に質が向上するためには、土台がよっぽど真直にきつく、絶えざる努力と反省とでうち直されねばならず、良人を弁護する気、合理化する気は持たず、しかも離れられない情愛を感じている妻君の、僻ませず、立ち直らせようとする骨折は、実に力一杯です。
 本当に、当座のことでなく、前進させたいと思います。そのためにも決して気がゆるせず。
 細かくこういうことを書くのは、十三日の手紙などでは、当時私のおかれていた理解の範囲で、只比較でものを云って居りましたから。それを補足したくて。ただああいう対比でだけ今日の状態が在るなら、あなたとしても、私のぐるりに、泥沼ば
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