ト生きてゆく歩みから出来る文学、その相異をしみじみ感じていたわけです。
昨今の出来事及び本になった小説(およみになれなかった)を再三よみ直し考えて見て、文士になっている[#「文士になっている」に傍点]感情のありようというものについて感じを新にしました。
今日の文学が健全性を失っていることはおどろくべきであると思う。人間感情の紛糾を、真に解決しよう、真に発展させよう、社会的な本源につきつめて究明してゆこうというより、社会的なものだ、相対的なものだ、という一定の観念の上に立って現実にはごたつく気持の縺《もつ》れ合《あ》いに身をまかせ、身をよじり、手をふりしぼる心の姿態を作家的自覚によって描いてゆく。現象的きわまりない。
どんな玉《たま》にしろ、ころがってゆくときは、真中というか中心を中心としているのだから、若しころがってゆく方向とか、ころがりかたを問題にせず、私は中心を真中にしてころがっているんですと主観的に強調したら、それっきりのものでしょう。
健全を求め、そのために努力しているつもりの作家に於てさえそうです。芸術家というものの感受性のありようについて、文士は度しがたい誤りにはま
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