Aやはりあがった方がいいのではないでしょうか。出来るだけ種類を増すために。本当にリンゴをすってあげたいこと。では又、小母さんがいらしての様子を。
十月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十月十三日 第五十九信
一ヵ月ぶりの手紙は頂く方も大変珍しい。この間うち、随分お書きにならないなと思っていましたが、心持は全く膝つき合わせているから、或はそういう at Home さで、うちにいて、よそへは手紙書くように、誰彼へ書いていらっしゃるのかもしれないと思って居りました。
明るい陽のさしているようなお手紙。この頃は何だか特別に毎朝私の顔や心がいっぱいに心持のいい、云うに云われぬ光りを浴びる心持です。きのうなど、その心持よさ、うれしさ、充実したたっぷりさで感動しながら雨の中を原っぱをぬけました。こういう深い、汲めどもつきぬ感じを与える暖流は、何と宝でしょう。日光のチラチラするような、一寸|枝蔭《えだかげ》のさしているような、そういう安らかな流れに体をひたして、私は眼を瞑《つぶ》って自分の体をやさしくとりまくものの感じに流れこんだり、ああいい気持と又目をあけて、パシャパシ
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