ために室積にゆくのではありませんが。――
 大いに熱中して読んでいる私の様子、やがておなかをかき出して、いきなり着物をぬいでノミをつかまえようとする私。ノミは多くの場合私より迅《はや》くて、とりにがし、ペコペコとイマヅをまいて又坐りこむ私。二階の部屋(東向の方)の様子と、そのかっこうとをお考え下さい。なかなかの戯画よ。非常に知的な漫画です。
 この手紙は一先ずこれで終り。あとは野原その他の様子になります。今光井から電話らしかったが、何かしら。明日ゆけなくなるのかしら。
 むらのある気候ですからくれぐれお大切に。この手紙は凡《およ》そ本月末か来月初めに着くのでしょうね。あなたはこちらの私へ書いて下さったろうかどうだろうかと、そう待ちかねているのでもないがちょいちょい考えます。では又。本当にお大切に。

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[自注6]大助さんの生れた家――難波大助の生家。
[#ここで字下げ終わり]

 六月二十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県熊毛郡光井村より(封書)〕

 六月二十日(一九三八年)山口県光井村にて  第三十信
 野原の家の奥座敷で、東の方の庭に向って障子も縁側の硝子戸も
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