ました。三十五日には、おかたみ分けをなさるそうですが、お父さんは永年臥たきりでいらして着物もないので、おかたみ分けには新しいものをお買いになります。貴方に20[#「20」は縦中横]、私にも20[#「20」は縦中横]、多賀ちゃんにもその位、富雄さん10[#「10」は縦中横]、克子さん10[#「10」は縦中横]、という予算で、何か下さるそうです。あなたにはそのほかお父さんの立派な羽二重の紋付を下すってあります、こちらにとっておいて頂きますが。あなたのは秋にセルを買うことにしてあります。
私はちゃんとした夏帯がないから買って下さるそうです。外のときでないから私もよろこんで頂きましょう。
お母さんは欠かさず毎日御墓参になります、そして烏がちゃんとまっちょると云ってお土産をもっていらっしゃる。ちょっとしたお菓子や何か。こちらでは烏がお供えを啄《ついば》むと難なく極楽へ行けたという証拠としているのだそうですね、しきりに又烏がいたと云っていらっしゃる。
達ちゃんには、近日慰問袋を送ります。広島へおかたみ分けを買いに出たときに。
私はお母さんと条約をむすんでひる間は多く二階にいて読むか書くかす
前へ
次へ
全473ページ中104ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング